2017-05-11

健康コラム・自律神経「交感神経と副交感神経」

交感神経と副交感神経の働き方

今回は交感神経と副交感神経それぞれの働き方を改めてお伝えします。

私たちの身体は運動神経や感覚神経をつかさどる神経の他、自分の意識とは別に寝ている間も休まず作動している神経系があり、これを自律神経系といいます。
たとえば、自律神経は体内の活動のすべてを調整するまとめ役で全身に神経網が張り巡らされています。消化吸収や呼吸・心臓の動き・体温・排泄などについて、自律神経系は身体殆どを統括しています。このシステムに加え、ホルモン系と呼ばれる内分泌系と協調して体内調整を行っています。

自律神経には、交感神経と副交感神経という2つの系統があります。この2つの系は、シーソーのような関係があり、一方が下がるともう片方が上がる、というようにバランスで成り立っています。シーソーが、ちょうどほぼ真ん中でバランスよく保たれるように、私たちが気が付かなくても、身体自らが常に調整しているのです。

交感神経は身体を活動に適した状態に調整します。心臓の働きを強め、筋肉を収縮し、血管を収縮させ血圧を上げたりします。一方、副交感神経はこの働きとは逆で、心臓の働きをゆるやかにし、筋肉を弛緩させ、血管を拡張させ、血圧を低下させます。
この2つの系統のどちらが優位に働くかで体内の状況が変わってくるのです。

交感神経が優位に働いているときは、神経の末端からアドレナリンが分泌されてそれを受けて各細胞が働き出してからだが緊張状態となります。つまりすぐにでも動き出せるように準備しているわけです。
副交感神経が優位に働いているときは、神経末端からアセチルコリンが分泌され、各細胞がそれを受けて筋肉の緊張を緩めます。今は休んで構わないという状態です。
このスイッチが正常に作動している時は、昼間は交感神経が優位で夜になると副交感神経が優位となるというリズムがうまくとれている、と言えます。

また、自律神経系は免疫の働きをもコントロールしています。免疫システムの要、白血球の数に作用しているのです。
血液の中にある白血球には、顆粒球(かりゅうきゅう)とリンパ球という種類があります。
交感神経(緊張モード・働くモード)が優位にあるときは「顆粒球」の割合が増え、副交感神経(リラックスモード・休息モード)が優位にあるときは「リンパ球」が増えます。
今の季節は(冬)、気温が下がるので交感神経が優位になりやすく、顆粒球が増加していることが多いうえ、気圧の変化によってもこのバランスは変化しています。

交換神経の緊張が過度に続くと?

では、交感神経の緊張が過度に続くとどうなるでしょうか?

毎日分刻みの仕事ばかりで、帰宅も遅く睡眠不足、食事もあわただしく外食中心、という場合。一見元気で活動的なのですが、その活動を支えるため、体内では交感神経優位の状態がずっと続いています。また、悩みや心配を抱えていたり、イライラしてしまうときも、交感神経が優位の状態です。緊張が持続すると肩こり、腰痛、背部痛、偏頭痛、など身体にあらわれる症状は多岐にわたります。
このような交感神経優位持続状態では、顆粒球の割合が増加します(リンパ球の割合が減少します)。増えすぎた顆粒球は、体内に入った細菌を退治するという免疫面では大事な役割をするのですが、顆粒球自身が寿命で死ぬときに活性酸素を放出するので、この活性酸素が周囲の組織を傷つけ、たとえば胃潰瘍や胃炎、循環器系の病気やがんなどの発症の下地になると考えられています。

副交感神経が優位になりすぎると?

逆に、副交感神経が過度に優位になりすぎるとどうなるでしょうか?

性格的におっとりしていてあまり物事に動じない、運動や活動の少ないタイプの人は副交感神経が優位であることが多いです。この場合、心身はゆるんでいて、免疫系ではリンパ球の割合が優位です。この状態が長期間続くと、増加したリンパ球がふだんなら反応しないものに攻撃をはじめ、アレルギー症状が出やすくなると考えられます。現代では歩くことも少なく、肉体労働は減り、食べることにも困らなくなり、暑さ寒さにもエアコン完備、という身体ストレスの減った快適な生活がアレルギーを招いている一因とも言えます。

自律神経のバランスのため日々取り入れたいこと

では、偏った自律神経系のバランスを中庸にうまくバランスさせるのに日々取り入れやすいことは何でしょうか?

その1:運動
運動することは、身体を温め体温を上げて免疫力をアップする手軽な方法です。
過度に激しい運動ではなく、ウオーキング、ストレッチ、ラジオ体操、ヨガ、太極拳などゆるやかに全身の氣を巡らせる動きをおすすめします。当院のグループエクササイズなどもうまくご利用下さい。
また、骨全体で体重を支えるよい姿勢は、活動量も増え体温を上げ健康維持に貢献します。頸が前に出ているうなだれた姿勢ではなく、水がめを頭上にのせているイメージで、よい姿勢をこころがけたいですね。

その2:呼吸
「フー」というため息のような長い呼吸は、副交感神経を刺激します。自律神経の窓口といわれる「呼吸」を利用して副交感神経(リラックスモード)を優位にスイッチすることは手軽な方法といえます。へその下2横指あたりの丹田を意識して、鼻から息を吸い込む(お腹はふくらむ)、口からゆっくり長く吐き出す(お腹はへこむ)、という丹田呼吸を繰り返すと、副交感神経が刺激され過度の緊張が緩和されます。

その3:食事
食事関連(消化・吸収)は副交感神経のコントロール下にあります。楽しくゆっくりいただいて初めて副交感神経が十分に働くので、食材に過度にこだわりすぎず、楽しんで食事をいただくようにしたいものです。玄米、発酵食品、野菜、豆類を中心に旬のものをいただくといいと思います。

その4:入浴
体温+4度の温度で湯船につかる入浴をおすすめします。35度など低体温の人は39度~40度のお湯ということになりますね。平熱が36度の人は、40~41度のお湯が適温です。(43度、44度など熱すぎるお湯は交感神経を刺激するので日々の就寝前にはおすすめできません。朝にはよいと思います。)

その5:睡眠
古代インドの医学、アーユルベーダでは健康にもっとも重要なことは、充分な睡眠時間、特に就寝と起床の時間とかかれています。ゴールデンタイムは夜10時から11時半の間の就寝、朝4時から6時の間の起床です。ついついやることに追われてしまいがちですが、ゴールデンタイムには夢の中にいるようにこころがけたいものです。

自律神経失調症・更年期障害・美容鍼灸
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